穴水町で暮らしてみませんか?

齋藤 祥江(さいとう さちえ)さん

金沢市出身。東京で服飾デザイナーとして活躍。
2014年夫と穴水町に移住し、漁業をはじめる。
2016年に焼牡蠣がメインの飲食店「Coast table(コーストテーブル)」を開業。
(インタビュー:2017年2月)

マルキュー系ファッションブランドのデザイナーに

高校生のときにファッションに目覚めて、絵も得意だったので「デザイナーになろうかな」と、服飾科のある東京の短大に進学。私が卒業したときは、マルキュー(渋谷109)ブームだったんですよ。最初はマルキュー系のデザイナー兼販売員として働き、お客様の欲しがっている服をデザインに起こすところからスタートしました。ギャルに囲まれて働いていた頃があったんですよ(笑)。就職して3年目で本社勤務になり、専属デザイナーに。マルキューの年齢層が若者から大人へと変化し、それに合わせた大人向けの新しいブランドの立ち上げにも関わりました。
その後、憧れのスタイリストさんと一緒に仕事がしたいと、別ブランドに転職。チーフデザイナーを任せられました。

都会の生活に疑問を感じた

デザイナーとして働きだして10年ほど。職場では、デザイナーは自分一人だけという時期が長くありました。会社にこもって、ひたすら自分との闘いなんです。夜中まで作業して、終電や夜中0時を超えてタクシーで帰ることもざらで。打ち合わせが朝まで続くこともありました。そうでなくても、毎日満員電車にぎゅうぎゅうになって通勤して、またぎゅうぎゅうになって帰る生活。仕事は好きだったんですけど、「いつまでこの生活を続けるのかな」っていう疑問を持つこともありました。

「漁師になりたい」夫の夢を後押し

そんなときに、旦那が漁業に興味を持ち、「漁師になりたい」と。今の生活に疑問もあったので、それを聞いて「わりと楽しそう!いいかもしれない」と思ったんです。だから、「ちょっと調べてみたら?」と言って、私の地元で開かれた漁業セミナーを勧めました。ダメなら諦めるだろうし、もし漁師になれる道があるのだったら、私はついていきたい。みたいな、そんな感じでした。
漁業セミナーで現実を知った旦那は、ちょっとへこんでいましたが、その時に出会った方が 話しかけてくれて。「漁師になりたいのか?」と、能登の漁師さんを3人紹介してくれました。タコ漁、定置網漁、牡蠣養殖と刺し網漁をされている方々。旦那と2人でそれぞれの漁師さんのところへ話を聞きに行ったんです。その時に漁師さんの暮らしぶりを見て、「何とか生活していけそう」と前向きになれました。

穴水町へ移住。漁師の暮らしがはじまる

牡蠣養殖と刺し網漁をしている穴水町の松村さんと出会い、1から漁を教えてもらえることになりました。内海は1年を通して漁に出られて、一人でも漁ができる。旦那は一人で漁をやりたかったみたいです。「ここで生活していくには何でもやらなきゃいけないよ」と、松村さんに言われて。私も一緒に漁に出たり、牡蠣を磨く作業も全部教えてもらいました。
最初は漁のついでの牡蠣養殖だったんですが、今は牡蠣がメインになりました。うちの旦那は几帳面なので、牡蠣はどこよりもきれいだと思います。私が昔食べていた牡蠣は、殻に付着物がたくさん付いていましたが、うちの牡蠣は本当にきれいに磨き上げております。

海の景色が気に入って、焼牡蠣のお店を開業

移住することが決まって、「じゃあ、私にできることはなんだろう?」と、最初はインターネットの勉強をしたんですよ。牡蠣をネット販売できたらいいなと思っていました。
ある日、父とこの場所にふらっと立ち寄ったら、海が近くて見晴らしがすごくよくて。もともと更地だった土地を縁あって購入できたので、牡蠣の作業小屋を建てる予定でいたんです。そしたら周りの方に「焼牡蠣をやったらどう?」と提案されて。
場所は集落の一番奧。景色がきれいで、目の前の海に船を着けて、獲った魚や牡蠣をすぐに持って来られる。焼牡蠣なら私にも出来るかもしれないし、「じゃあ、やってみたいかも!」そんな感じで、はじまりました。 もともと飲食店をやっていたわけじゃないので、町内の牡蠣料理店で働きながらノウハウを学びました。実際にやるんだったら、牡蠣料理のフルコースなど、メニューを充実させた方がお客様も喜ぶだろうし。少しずつメニューを増やしています。

能登の旬にこだわって、牡蠣シーズン以外も通年で営業

牡蠣シーズン以外の時期のメニューは、旦那が獲ってきた魚を使って、フィッシュバーガー、ピザ、フライ定食など。今年の夏からは、岩牡蠣もようやくお出しできます。
お店では、お米や野菜はもちろん、炭や珪藻土コンロなども、能登の素材にこだわっています。輪島塗のお椀は、能登町にいる私の叔父から譲り受けたもの。能登のお宅にはいっぱいあって、このお椀を出すと「うちの蔵にもあるのよ」って言われる方がいらっしゃいます。

忙しい季節があってもいい

お客さんは金沢、富山、福井。さらには牡蠣の産地である宮城や三重などからもいらっしゃいます。いろんなお客さんが来るので楽しいですよ。
2~3月の牡蠣シーズンは本当に大変なんです。仕込みで休む暇がないくらい。でも、楽しいかもしれないです。たんたんと働いているよりも、ピークがある方が。「今を乗り越えればその後は楽しい。だからがんばろう!」って、モチベーションになっています。
東京で働いていた頃の忙しさよりも、今のほうがいいですね。お客さんとコミュニケーションがとれて、天気のいい日に海を眺めていると、魚がのびのび泳いでいるのが見えて。すごく癒されます。

Coast table(コーストテーブル)
〒927-0016 石川県鳳珠郡穴水町中居南2字107
TEL.080-1966-1761
営業時間 11:00~15:00(L.O)
定休日 水曜日(祝日の場合は翌日)
フェイスブックページ @Coast table

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